すきなのに!!
やばいじゃないか!謝罪だ!今すぐ南に行って土下座でもなんでもしよう。お金要求されたらやだ!
「ああああたし!南行ってくる!」
「え?なんで?」
怪訝な表情であたしを見た金髪王子に言い返した。
「アイツらが大勢で原田少年に殴りかかるとこ見て、ついあんなことしちゃったけど、怪我させたんならあたしだって悪い」
「……栞」
あら?凛が目をうるうるさせながらこっちを見てる。え、何?!
すると凛は両腕をガバッと広げてあたしに抱きついてきた。
「アンタは本当にイイコだ!もう最高だー!」
「り、凛…?!」
ちょ、この子すりすり頬ずりしてくるんですけど。行動がめっちゃ謎なんですけど!
あたしがあわあわしていると、金髪王子が顎に手を当てて何かを考え始めた。
「…俺さ、キミとどっかで会ったことある?」
「え、何?ナンパ?!この状況で?!」
「違う」
そ、そんなに否定しなくてもいいじゃないか。
俯いてみたら、髪が垂れ下がって邪魔だったから耳に掛けた。そろそろ切るべきかしら。
毛先をくるくる指に巻きつけながら顔を上げると、金髪王子とがっつり目が合った。
本当に綺麗な顔だ。
薄茶色の瞳がまっすぐあたしを見つめる。
その瞳は、あたしのこの作り笑いも見抜いちゃう気がしてちょっと怖い。