すきなのに!!

「俺は平野 晶(ひらの あきら)です!」




坊主の野球少年は晶くんっていうのか!「野球ファンですか」って聞いたら困った顔をされた。もう二度と変なことは聞かないと誓う。





「で、キミたちはなんて名前なの?」





甘ったるい声であたしと凛に尋ねた颯くんに思わず顔をしかめた。どっからあんな声出るんだ。



凛はビクッと肩を震わせて、一度あたしの顔を見た。…緊張してるな、この子。





「榎本 凛(えのもと りん)、です」






蚊の鳴くような声で言った凛はなんだかいつもより小さく見えた。




「そっか~よろしくね、凛ちゃん」





颯くんが屈んで凛に視線を合わせて微笑むと、凛は頬を赤く染めてこくこく頷いた。





おいおい嘘だろ。さっき外であたしが暴れようとしてたとき、何度も物凄い力であたしを止めようとしてたのに。




般若顔負けの形相であたしを睨んでたのに、なんで今はこんなしおらしくなっちゃってんだい。




…あ、もしかして、これが女子のテクニックってやつか?!






「……あたしにはムリだ」



「何言ってんだコイツ」





…なんだその目はミルクティー神崎よ。




神崎輝はあたしを指差して朋稀に首を傾げてる。


< 31 / 165 >

この作品をシェア

pagetop