すきなのに!!
「それに、どういうつもりだよ朋稀!いくら南栄に絡まれたからって女助けるとか意味わかんねぇ。俺らが不利になるだけだろ。…女なんて、ただ邪魔でうるさいだけだ」
…はい、かっちーん。
出ました出ました。“女なんて”発言。
俯いて唇を尖らせる神崎 輝の前にあたしは滑り込んでビシッと人差し指をヤツの額に突きつけた。
「女なんてとか言わないでよ。ムカつくんですけど」
「…あ?」
「ちょ、栞!!」
凛がなんか言ってるけど、もう知らない。
こうなったらあたしは止めらんない。
「女だからどうとかそれはおかしいでしょ」
「本当のことだ。万が一、お前が人質にでもされたら俺らは手も足も出ねぇんだよ」
くそー。さすが不良だな。思いっきりガン飛ばしてくる。
颯くんが銀色の髪を自分で三つ編みしながらこっちに近づいて来た。
「おいおい、2人ともやめろって。仲良くいこうぜ」
「は?仲良く?お前が1番コイツのこと、信用してねぇくせによくそんなこと言えるな、颯」
颯くんがふいと視線を逸らした。
ふーん、図星か。
そりゃ、初めて会った人をいきなり信用するのは人によっちゃ難しいかもしんないけどさ、でも…。
「人を疑うところから入るのはよくないと思う」
あたしは、2人を見つめてそう言った。
意外にも大きな声だったみたいで、部屋にいた全員の視線があたしに向けられた。
「なんなの、お前」
「…さぁ?」
あたしが首を傾げるとミルクティー神崎 輝に舌打ちされた。ほんと舌打ち好きだねこの人。