すきなのに!!
もう、アレだね。呆れて何も言えないよ。


やれやれと肩をすくめたあたしは、スマホを取り出してハッとした。



「やばいやばいやばいやばいー!!」

「あ?うるせーな。今のお前の顔の方が断然やべーだろ。ゴリラそっくり」

「はぁ?!!…ってそうじゃなくて、入学式終わっちゃったよ!ね、どうすんのさ!!」




あたしに冷たい目線を向ける輝の肩を揺さぶって、あたしも「うわあああ」と頭を振った。あ、やばい。いつか頭取れそう。



あたしは輝の肩から手をパッと離して、まだ窓際でおしゃべりタイムに浸ってた凛の腕を掴んだ。



「凛ちゃん凛さま凛お姉さん!入学式終わっちゃったよ!早くクラスの名簿見に行かなきゃ」

「…は!!」



今気づいたのかよ。

凛は立ち上がって理陽にイヤホンを返した。てかアンタら、イヤホン片方ずつ付けて音楽聴くってただの幸せ絶頂バカップルじゃんか。



「理陽くんありがとう」

「いえいえ。また来てね」



2人で笑い合ってる。そんなに話が弾んだのね。なんか微笑ましいわ。



すると、朋稀がすたすたこっちに向かって歩いてきたかと思えば、ポケットから四つ折りにたたんである紙を取り出してあたしに突きつけてきた。



「ん、これ。クラスの名簿」


「なんで持ってんの」



朋稀はへらへら笑いながら「拾った」とか言ってる。おいおい、大丈夫かこの学校の先生たち。個人情報の管理がなってないですぜ。


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