すきなのに!!

自分でもびっくりだ。


数時間前に初めて会った人たちに、こんなに馴染んでるなんて。


しかも愛想笑いが若干剥がれてきてるし。



自分の頬を引っ張ってみて、「あ、現実なんだ」と改めて確認した。



なんか、南栄との揉め事とか、あたしがヤンキーに守ってもらうとか。


いまいちピンとこないのが正直な気持ち。




だけど、ここにいれば何かが変わるような気がした。





「行くよ凛!今ならホームルーム間に合う!!」



第一印象が最も大事らしいからね!…あ、入学式すっぽかしちゃった時点でもうダメか。



と、とりあえず教室行かなきゃ。


凛を引っ張って部屋のドアノブを捻ろうと手をかけた。けど、…あれ?


あたしは後ろを振り返った。



「颯くんたちは教室行かないの?」



輝はキャンディーをぽんぽん口の中に放り込んでる。あんなに食べて詰まらないの?

颯くんは、雑誌をぺらぺら捲ってる。たぶん、あれだ。エロ本ってやつだ。


全然行く気ないよね。
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