すきなのに!!
「理陽、あたしのことナメてるよね?」

「うん」


いや、そんな真顔で言わないでよ。

理陽はそのままスタスタ歩いて行った。



夏樹くんは理陽の後ろ姿を見て苦笑する。



「理陽さん、正直すぎて逆に尊敬しますね」

「…つまり、夏樹くんもあたしをナメてると?」

「ち、違いますよ!先輩は…その、えーっと。あ、うーん」




あわあわと口元を押さえて狼狽える夏樹くんに、もう怒る気すら起きない。


あたしは「もういいよ」と言って夏樹くんの肩をぽんぽんと叩いて、まだ「違うんですー!!」って泣きそうな声で叫んでるのを背に歩き出した。








「ここが万里くんの部屋…」



きっと広いんだろうな。


朋稀がコンコンと軽くドアを叩いた。


「万里ー。遊びに来てやったぞ」



颯くんがドアに近づいて、口を開いた。



「ばーんりちゃん。出て来てよ」


「万里、話そうよ」



理陽が優しく声をかける。


それでも万里くんが部屋から出てくる様子はなく、辺りはシーンと静まり返っている。







…ちょ、あたし、



「ね、輝」

「…ちっ…なんだよ」


< 54 / 165 >

この作品をシェア

pagetop