すきなのに!!

「あー。スッキリしたー」



トイレも広い。きらきら光る照明とか大きな鏡。こんなに綺麗なら寝泊まりできそうとか思っちゃった自分がいる。



手を洗ってハンカチで拭いて重たい扉を開けた。


そのまま廊下の突き当たりを曲がれば、きっと輝がいる。

あたしはスキップしながら廊下を進んでいく。


綺麗なトイレを見てテンションがおかしくなったのかもしれない。


あたしはるんるん気分で角を曲がろうとした、そのときーー…



「痛っ!」

「いって…」





誰だ誰だあたしの進行方向にいたのは!

ものすごい音と共に、あたしと同じようにこの角を曲がろうとした誰かと衝突してしまったようだ。



この曲がり角にいるのは、アイツしかいない…!

あたしはまだ痛む額を押さえて、ゆっくり立ち上がって口を開いた。



「ちょっと輝?!何こんなとこで突っ立ってんの?!…まぁ、確かにあたしもスキップして前見てなかったけどさ、誰だって曲がったところにアンタがいるとは思わないじゃん!それにどんだけ石頭なワケ?!頭かち割れるとこだったよ!頭から脳みそこんにちはするところだったわ!どうしてくれる…………は?」




ぺらぺらと言いたいことを言い終わりかけて、あたしはまだ床に倒れてる輝を見下ろした。


……つもりだった。




「……だ、れ?」




目の前にいる少年はあたしに向かってそう言った。



ていうか、この子…。




「か、か…!!!」




ものすっごく可愛いんですけどおおおおお!!


な、なんなの。この胸のときめきは!心臓の高鳴りは!!





あたしは心臓の辺りを押さえて、あまりの衝撃に床に座り込んだ。
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