すきなのに!!
噴水の周りには赤いツンツンヘアーの見るからにヤンキーっぽい人を先頭に、大勢のヤンキーズが赤茶の髪の男子生徒1人と睨み合っていた。



なんだなんだ。喧嘩か。




喧嘩に巻き込まれるのはごめんだけど、ちょっと気になるので傍観することにした。




ふふふ。あたしの野次馬精神を見くびっちゃあかんのだよ、奥さん。




赤髪ヤンキーの後ろにいた金髪が耳についてるピアスをじゃらじゃら揺らしてバッドを地面に叩きつけた。





「おい、原田ァ。テメェみたいなガキには用はねぇんだよ。とっとと新田(にった)出せや!」






原田と呼ばれた少年は特に怖がる様子もなく、「怠いわー」とか言いながら首をぽりぽり掻いてる。あ、相手を挑発するな!




よくよく見ると、原田少年は紺色のブレザーの下に赤色のパーカーを着たおしゃれさん。顔も可愛い感じ。



ブレザーについてる校章が、あたしたちと色が違うからたぶん中等部の子なんじゃないのか。




あんな可愛い少年1人で喧嘩なんてできるの?大丈夫なのか?!お姉さん心配になってきたよ!!




あわあわしてたら、凛が後ろから軽く肩を叩いてきて、あたしの耳元に顔を近づけた。




「ねえ、あの赤髪の制服って哲たちと一緒じゃない?」



「……あ」





ほんとだ!!てことは、あのヤンキーズは南栄の生徒ってことだよね?!いやー恐ろしい!哲ちゃんたちはそんな生きるか死ぬかの瀬戸際のところにいるんだね…。



あたしこう見えて結構強いんだよ!




中2まで剣道やってたし、今も空手続けてるし!!



まぁ、相手が喧嘩慣れしてるヤンキーならあたし負けちゃうと思うけど油断させるくらいならできると思うの。





原田少年がピンチになったらかっこよく助けてあげよう。


< 6 / 165 >

この作品をシェア

pagetop