すきなのに!!
と、とりあえず話しかけてみるべきか?


笑顔は大切だよね。

あたし、作り笑い得意で良かったかもしんない。




あたしはできるだけ笑顔で万里くんに話しかける。



「や、やあ!万里くん、はじめまして」


「……」



無視かよ。

…まぁ、いいよいいよ。こんなの想定内だわ!




「あ?いいから早く来い。…めんどくさいのは俺も同じだっての。…あぁん?!テメエ調子乗ってんじゃねぇよ!!」



理陽は何言ってんだろ…。どうでもいいから早く終わらせてこの状況をなんとかしてほしい。


万里くんは体育座りで体を縮めてまだ震えてる。


この尋常じゃない怯え方、一体昔に何があったのか。




「万里くん…あのさ」

「ったく遅えよ理陽!!」





あたしが言おうとしていた言葉を輝が遮ったから結局言えなかった。

ちょっと万里くんがこっちを見てくれたのに。




理陽はまた音楽を聴きながらたらたら歩いて近づいてきて、輝を見ると「やっほー」と片手を上げた。

マイペースすぎる。



輝が怒るたびに尖った八重歯が見えて、ちょっと怖い。


理陽は全く物怖じせず、茶金の髪を触っている。



「そんな怒ることないじゃん。ね、栞」




理陽は床に座り込んでるあたしと万里くんを見て首を傾げた。


そして、「あっ!」と言って手をぽんと叩いた。



「2人とも、もう仲良くなったの?そっかそっか。2人、なんとなく似てるしね。ちょっと空気読めないところとか思ってることなんでもストレートに言っちゃうところとか」


「理陽だってそうじゃん?!」


「偉いね栞。初対面でちゃんと話せるなんてー」


「聞いてないね」




ダメだこのマイペース男。
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