すきなのに！！

彼らの気持ち

＊・＊・＊…



「……はぁ。朋稀たち、隠れてないで出てきたら？」




俺は茶金の髪をくしゃりと触って腕を組み、朋稀たちがいる壁の方に目を向けた。




朋稀と颯と夏樹がのそのそと出てきた。




「ばれてた？」


「ばればれ。丸見えだった」


「さーすが理陽ちゃん」





ふざけた口調で言う颯を睨みつつ、栞がこの場から去ったあと床に座り込んだ輝を見た。



朋稀が輝の肩を叩いて、困った顔をする。





「輝、ちょっと言い過ぎだったんじゃねえの？お前にしちゃやけに熱くなってたな」




夏樹が輝の近くで震えてうずくまる万里の背中をさする。



颯は俺の隣に来て肩に手を回してきたのでそれをピシャリと払った。




「颯ってホモなの？」


「何言ってんの？俺は女の子にしか目がないですよーん」


「ふーん、興味ない」


「ひどいなぁ」





ケラケラと笑う颯を一瞥すると颯は何やら真剣な顔で考え込んでいた。


そんな顔でふざけたこと言ってたのかと思うと一発蹴りたくなってきた。




「ひかちゃん」





颯が輝の名前を呼ぶ。


いつもだったら「女みたいなあだ名で呼んでんじゃねぇよこの変態野郎！！」ってキレるはずなのに、輝はなんだかぐったりした様子で振り返った。


しゅんとした背中がいつもより数倍小さく見える。





「どうすんのこれから」


「どうするって…」




輝は口ごもって俯いた。

朋稀がやれやれと頭を振る。




「輝は言い方キツイからな」


「うっせー」




輝が膝に顔を埋めて縮こまった。ますますネコみたい。今度猫じゃらし買ってこようかな。




颯が頭の後ろに手を回して今度は俺をニヤニヤしながら見つめてきたから、本気で蹴り飛ばしてやろうかと思った。




「蹴られたいの？」


「やめてー理陽が言うと本気にしか聞こえないからー」


「は？本気だし」


「まぁまぁ落ち着けって」




自分が怒らせといてなんなの？

颯を睨みつけたけど、全く反省してないようでまだヘラヘラ笑ってる。



「あれだよな。正直、理陽が幼馴染ちゃんに助け舟でも出してあげると思ってた」


「…俺が？」