すきなのに!!
え?待って待って待って。


‘‘ウチのNo.2をぶっ飛ばした女”って……




「あ、たし?」





そうだよ、きっとそうだ。

透は南栄のNo.2で、あたしが昨日ぶっ飛ばした。


だから南栄はあたしを探してて、だから西華の不良と関わることになったんだよ。




あたし、狙われてる。



…ええええ?!!ちょ、どうすればいいのこういうときは!武器持ってないよ。


漢字の問題集よりも不審者撃退グッズを買うべきだった。


いや!今からでも遅くない。
来た道を戻ろう。



あたしは勢いよく後ろを振り向いた。


…ら、




「矢野捕まえてきました!!」




……?!


なんで捕まっちゃったの万里いいいい!!





「やめろ!」




うわうわうわ。どうしよ。


万里くんの悲痛な声が聞こえる。

あたしは声が聞こえた方へ恐る恐る近づき、壁から少し顔を覗かせた。



自分より倍くらい2人のデカイ男に羽交い締めにされてる万里くんを見て思わず悲鳴をあげそうになった。


どうしよう。


と、とりあえず、理陽にメールしよう。ってあれ、あたし理陽のメアド知らないじゃんか!くっそ、なんだこのケータイ。役立たずにも程がある!




「ったくうるせぇな。万里ちゃんよ~」

「っ!!ちゃん付けすんなハゲ!」

「相変わらず威勢だけはいいな」




スキンヘッドのデカイ男は万里くんの頬を突ついている。万里くんは今にも噛みつきそうな感じだ。




「なあ万里ちゃん、透をぶっ飛ばした女、誰か知ってるか?」


「はぁ?!知るかよ」




そうだよね。キミにとってあたしは昨日会ったばかりのよくわからない女だよね。



万里くん、大丈夫かな。

あんなデカイ男に囲まれて、逃げようにも逃げらんないよね。

あれ、でも万里くんも一応は不良だからそれなりに強い、のか?引きこもりがちだったから体は鈍ってるかもだけど。

このときまでは心のどこかで安心せていたあたしだけど、次にスキンヘッドがポケットから取り出したものを見てからは、心臓がばくばくしてしょうがなかった。





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