すきなのに!!
「本当のこと言えっての。じゃねぇとその綺麗なお顔に傷がつくぞ~?」



ーーナイフだ。


なんであんな物騒なもの持ち歩いてるわけ?!ますます万里くんの勝ち目がなくなっていく。


万里くんもナイフを見た瞬間顔色がサッと変わった。




「…知るかよ」




万里くん、あたしがぶっ飛ばしたこと…知ってるよね?知らないはずないもんね。朋稀たちはきっと、それを伝えるために昨日万里くんの家に行ったんだよ。


なのに、どうして。


なんであたしがやったって言わないの?

そうすれば万里くんは離してもらえるかもしれないのに。


あたしは唇を噛み締めた。血の味がする。




「言う気がねぇなら、こっちにも考えはあんだけど」




スキンヘッドはニヤリと笑って万里くんの前にナイフをちらつかせた。



「……やめろ」




ナイフが万里くんに近づく。




「やめろ、よ」


「ひゃっはは!うけるー」




ナイフが近づく。


カウントダウンが聞こえる。




ーー…あたしは限界だった。





「やめてって言ってんでしょうが!!」






次の瞬間、あたしはスキンヘッドの男の横腹に、飛び蹴りをかましていた。



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