すきなのに!!
とにかくこのままじゃかなり危ないってことは流石にバカなあたしでもわかるよ。


あたしは目を瞑って意思を固めた。




「え?何?キス期待しちゃってんのー?」




あたしはカッと目を見開き、ありえない勘違いをしてる男の手を払ってそのまま男の急所を蹴り上げた。




「ゔ…っ」




呻き声をあげて再び倒れた男を踏んづけて、さっきあたしが突き飛ばしちゃった万里くんの腕を握った。


万里くんは目をパチパチさせてあたしを見ている。その目はあたしを女だとは思ってない目だな!ちくしょう。



「お前…何者?」

「えー、新参者?」

「……つまんない」

「ストレートに言わないでよ万里くん」



「ちょっとお嬢ちゃん、キミさっきからめちゃくちゃにやってくれてんね~」


「そろそろ俺らも本気だすぞ」




男たちがポキポキ指を鳴らし始めた。やめたほうがいいよ。指太くなりそうだもん。スマホ操作できなくなるよ。




「あぁん?!心の声だだ漏れなんだよ!!」





男の拳が空を切る。万里くんがあたしの腕を引いて下にしゃがむ。


だけど別の男に蹴りを入れられて、万里くんは避け切れずにそれがお腹にもろに当たってしまった。




「万里くん!」




万里くんはお腹を押さえて「大丈夫だ」って言ったけど、大丈夫じゃなさそう。時折見せる辛そうな表情が頭から離れない。




『守ってもらおうだなんて思ってないから』


『自分の身くらい自分で守れる』




あのとき言った言葉がこだまする。




今日から仲間だって言ってくれた朋稀。


マイペースだけどいつも見守ってくれてた理陽。


うるさいけど本当は仲間思いな輝。


変態だけど優しく笑ってくれた颯くん。


怯えてたはずなのに、何度も庇ってくれた万里くん。




ヤツらはいつも誰かのために戦ってる。



じゃあ、そんな彼らを誰が守るんだ。






不良No.2をぶっ飛ばしちゃうような、


女しかいないじゃん。



あたしだけだよ。




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