すきなのに!!
ひどいこと言って輝を怒らせちゃったけど、許して…もらえるかな。



本当の仲間に、してくれないかな。





素直に言えたらどんなにいいだろう。




あたしもあんな風に毎日ふざけあって、それでも笑って、お互いを思い合えるような仲間が欲しいんだ。



力に、なりたいんだよ。




「ちっ…おい、とっとと矢野潰してこの女連れてくぞ」


「終わったら俺にも回せよな」




じりじりと近づいてくる男たちを睨んだ。

万里くんはまだ苦しそうにお腹を押さえてる。



あたしがやらなきゃ誰がやるんだ。




「万里くん」

「…ん?」




万里くんの大きな瞳があたしに向けられる。


あたしはカバンの中をゴソゴソ漁りながら万里くんに笑いかけた。




「あたしが守ってあげるから」


「は?何言ってんの。そういうのは男がやんなきゃ…」


「あたしだってやればできるってところ、見せてやらなきゃいけないから」


「え、ちょ、おい!」




あたしはニヤリと笑って目の前にやってきた男の足を踏んづけて、さっき買ったばっかのアレをビリビリに破ってぶちまけた。




「うわ!なんだよこれ!!漢字が書いてあんぞ!」


「り、龍ってこういう字なのか!初めて知ったわ!」


「漢字マジうぜえ!!見たくもねぇよ!きもい!!死ねええ!!」



「おい、逃げるぞ!」

「ひゃーっははは!ざまあみろ不良共!!これぞ『不良が苦手な勉強系の悪戯をしかけてみちゃったよ、あたしも漢字苦手だからな!せいぜい苦しみやがれ作戦デラックスボンバー作せ…ってうわっ!万里くんいきなり引っ張んないでよ!!」

「作戦の名前が長すぎるんだよ!どんな名前か聞いてやろっかなって少しだけ思った俺の親切心を返せよ!」

「おお!聞いてくれてたの?!ありがとう!」

「はぁっ?!……ど、どーいたしまして」



あれじゃん。

やっぱ万里くん、優しいじゃん。



あたしは嬉しくなってきちゃって走るスピードを一気に上げた。



「っ?!お、お前足速い…!」



後ろで万里くんがなんか言ってるけどよく聞こえない!


少し前に隠れられそうな公園があったからそこに勢いよく入って茂みに隠れた。


もう夜に近いからか公園で遊ぶ子供は1人もいない。
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