すきなのに!!
あたしの頭の中に真っ先に浮かんだのは


いつもあたしのこと叱ってくれて


可愛い見た目とは裏腹に力が凄く強くて、



優しく笑ってくれる凛。




あたしは小さく笑って地面に視線を戻して近くにあった棒で意味もなく線を書いてみた。




「凛って言うの。1番大好きな友達」

「りんちゃん?」

「そう、凛ちゃん」





凛はあたしにとってすっごく大事な子。



「親友、か…」



あたしのポツリと呟いた声がすっかり暗くなった公園に響く。



そんな大好きな人にもちゃんと笑えない。


心の底から笑えない。



あたしは最低だ。



舐めていたいちごみるくを噛んだ。


ジャリジャリと音がして、中から甘い練乳が溢れ出る。




いつかあたしの堪えてきた思いがこうやっていとも簡単に溢れ出ちゃうんじゃないだろうか。



どれだけ辛くても泣けなかった。


寂しくても誰にも言えなかった。


他人への甘え方を知らないあたしが、




誰かに頼る日が、来るのだろうか。





「ば、万里く…?!!」





いきなり誰かに後ろから口を塞がれてあたしはジタバタと暴れた。




「ちょ、おい!!…っ!!」




万里くんはあたしの後ろにいる誰かを蹴り飛ばそうとしたけど、その足を別の誰かに掴まれて羽交い締めにされてしまった。



どうしよう!





ーーあたしはいつの間にか気を失っていた。



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