すきなのに!!
「おい、なんか悪口言っただろ」



「いいいいい言ってません!!!」



「言っただろ。どもりすぎじゃねぇか」






あ、あたしとしたことが!これじゃバレバレじゃんか!!



なんとか誤魔化さねば…!



あたしたちをどこか心配そうな目で見てる原田少年を横目に、あたしは眉を下げて頭を掻いて笑った。



あまりに作り笑いが上手くできたから、心の中はパーティー状態なのだが。





「なんでもないですよ。親友と他愛ない話をしてただけです」





ふふふと笑ってみせると金髪は「そ、そうか…」と一瞬たじろいだ。




きっとあたしの品の溢れるスマイルに心奪われたのね。



凛はずっとぽかーんとして現実逃避してるから、あたしがこのピンチをなんとかするしかないのだ。



入学初日に不良に絡まれるとかついてないな。



あたしが考え込んでる間に、金髪は噴水のところに戻っていたようだ。



ふー。ひとまず、安心だね。



金髪はポケットから煙草とライターを取り出して吸い始めた。こら!ここは禁煙だぞ!



あたし煙草がほんと苦手なんだよね。なんか吸うと気持ち悪くなってくる。



寿命縮めてまで吸う意味がわかんないや。



さり気なくハンカチで鼻を覆った。





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