すきなのに!!
「万里くん!!起きてよ!!」



早くしないとあたしたちを連れて来たヤツらが来ちゃうよ。早く逃げなきゃ。


声をかけてもなかなか起きない。ちょっと軽く蹴ってみた(ごめんね万里くん)けど、それでも起きる気配はない。




「ああああ!!ばーんーりーくーんー」




……もう!なんか気持ち良さそうにスヤスヤ寝ちゃってる万里くんに少しときめいちゃったあたしを殴りたい。でも縛られてるから殴れないいいい!!



ったく、誰だよあたしを縛ったヤツは!なんでか知らないけど万里くんは縛られてないんだよね!むっかつくー!


きっとあたしを縛ったヤツはアッチ系の人で、万里くんに思わず一目惚れしちゃったんだ。


で、顔に怪我してるのに縛るのはかわいそうとか思ってそこら辺にぶっ倒れてたあたしだけ縄でぐるぐる巻きに…!!



…ああーもうイライラしてきた。次部屋に入ってきたヤツは誰であろうとボッコボコにしてやる。


すると外からコツンコツンと足音が聞こえた。足音からして敵は3人。足はラッキーなことに縛られてないから、入ってきた瞬間にとっちめてやる。


たくさんの足音が部屋の前で止まり、ギィっとドアが音を立てて開きそうになったのを見てあたしは飛び上がった。


な、なななななんかさっきまでとっちめてやる!って意気込んでたけど急に緊張してきちゃったじゃないかよ!



あたしは猛ダッシュでドアの前まで行って全身全霊でドアを押さえた。



「ふんぬぬぬううう!!」



乙女らしからぬ声が出てるけどこの際気にしない!ごっつくてむさ苦しい男にあたしが…いや、万里くんが襲われでもしたら…!!


万里くんはもう一生外の世界に出られなくなるかもしれない。それはダメだ。なんとしてでも阻止せねば!



「ちっ…なんだこのドア開かねぇじゃねーかよオイ!ドアの前にタンスとか置いてあんじゃね?」


「しっかりしてよー」


「そうだそうだー」


「…イラつく!!オイ!中にいるヤツ開けろよばーか!」


「近所迷惑だよ、キョウ」



キョウ…?



あれ、この声…どっかで聞いたことある気が…?




……あああああ!!

考え込んでたらドアから知らない間に手が離れてたんですけどおおお!!



「きゃああああああ!!!」


「うるっせえわバカ女!!ちったあ黙って座っと……は?」
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