すきなのに!!
金髪は地面を灰皿代わりにして、煙草を押し付け、世に言うヤンキー座りで原田少年を睨み上げた。
「今日はわざわざウチのナンバー2の透(とおる)さんが来てんだから早くしろ」
「うるせーな。今来てるから待てって」
「…ったく。おせーよ」
な、なんか修羅場っぽいね。
たぶん部外者のあたしの心臓がいちばんバクバクしてると思うよ。
なかなか待ち人が来ないのか、イライラし出した南栄ヤンキーズ。
今にも飛びかかって来そうだね。恐ろしい!
それにしても、“ナンバー2の透さん”ってどの人だろ。
あっちはざっと10人いる。
ナンバー2ってことは、副リーダーだよね?
たぶんスキンヘッドの兄ちゃんと金髪は違うでしょ。
あとはなんか目はギランギランしてるけど、リーダー向きな感じじゃないし。
…となると、あの赤髪か?
さっきからひとことも喋ってないし、あの人だけオーラが違う。威厳があるっていうか。
うーん。久々に頭使ったから疲れたわ。
あたしはベンチから降りて、ちょこんと座った。
凛もあたしに気づいて同じように座る。