すきなのに!!
透は理陽の方を見て小さく舌打ちをした。


理陽は透と繋がってるあたしの手をガン見している。こ、怖いんだけど…。




理陽の顔がとてつもなく怖い。
悪魔?死神?とにかく怖い。


透から逃げるために手を引っ込めようとしたけど、力が強すぎて抜けない…。




「まだ話終わってへんからあかんよー」


「う…っ」




逃げようとしたあたしに気づいた透が手の力をさらに強めてにっこり笑った。あたしはタジタジである。


な、なんかこの人…苦手かも。




するとさっきまで黙っていた残りのヤツらが近づいてきたからあたしはとっさに透を盾にして隠れた。





「朋稀ちゃん、あの困ったちゃん早く連れて帰ろうぜ」


「そうしたいのな山々なんだけどなぁ、颯ちゃん。困ったちゃんてば透っちを盾にして隠れてるんだよぉ」



「ひかちゃんなんとかしてよ~」


「なんとかして~」


「きもい!お前らきもい!!喋り方が果てしなくきもい!」





嫌だよ。この人たち。

なんで来ちゃったの?



あたしのことどうでもいいくせに。



思わず透の手をぎゅっと握り返しちゃったのが、間違いだったんだ。




「栞ちゃん、やったっけ?」


「っ、は…い」





なんだろうこのなんとも言えない空気は。



ピリッとした空気が張り詰めた。





そして次の瞬間、爽やかに笑った透から飛び出した爆弾発言で度肝を抜かれることに、あたしたちはまだ気づいていなかった。


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