すきなのに！！

心の中で悪態をついてる間に輝によって透から引き離されたあたしはポーイとゴミを捨てるみたいに輝から颯くんへとパスされた。ポイ捨て禁止だぞ！



難なくあたしをキャッチした颯くんはなぜかパチンとウィンクしてくれた。ん？ウィンクしたってあたしからは何も出ないよ。



首を傾げたら颯くんがあたしの肩を突ついてニヤリと笑った。




「もぉーしおりんのど・ん・か・ん」


「……ごめん、殴っていい？」


「暴力反対ー！暴力的な女の子はいくら可愛くてもモテないよーん」


「可愛くないからいいんですー」


「確かにゴリラっぽい」




ゴリラだなんて一言も言ってませんけど？！


む、むっかつく…！！




するといきなり誰かに頭をすごい力で掴まれてぐるりと回された。



「え、ちょ、誰？！頭取れる！回るはずない方向に回ってるううう」

「うるさい」

「り、理陽こらふざけんな！痛い…」


「やめときなしおりん。理陽は人が痛がるところを見るのが好きだから、今やってること思いっきり逆効果だよ」


「ちょ、もっと早く言ってよ颯くん！てかしおりんって何？！あたしのあだ名…痛っ！！」




理陽にツノが立ってるううう！後ろで死神がなんか呪文唱えてるし、悪魔が槍持ってウシシ言って楽しんでるううう！




「どういうことかな。ん？なんで連絡よこさなかったの？家帰ったら栞の家が騒がしかったから話聞いたらまだ帰って来てないってキミのお兄ちゃんたち大騒ぎだったよ。ねぇ、夜遅くに街出歩くとかバカじゃないの？アホじゃないの？おいこらすっとこどっこい聞いてんのか」


「き、聞いてます！」




すっとこどっこいなんて久々に聞いたよ…！しかも最後の方口調変わってる！！あなた曲がりなりにも王子様キャラとしてうちの学年では通ってるんだからやめときなよ。…あれ、もしかして王子様キャラだと思ってるのはあたしだけだったりして。



それでもあたしは言い返す。そう、だってあたしは何も悪くないのだから！



「だ、だって理陽に連絡しなきゃと思ったけど、連絡先知らなかったんだもん！」


「…は？万里に聞けばよかったでしょ」





くっそう！負けたぜ！

公園で隠れてるときに万里くんに聞けばよかった！