すきなのに!!
どっと今までの疲れが押し寄せてきてあたしはぐったりと項垂れた。


理陽はどこか満足そうな表情で片手を腰に当てている。


そろそろ頭から手を離してください。
マジでお願いします。




だんだん白目になってきたあたしがさすがにやばいと思ったのか、隅っこにいた万里くんが駆け寄って来て理陽の手を払ってくれた。



あたしは両手を合わせて万里くんをきらきらした目で見つめた。




「これはこれは!!マイスイートエンジェル万里きゅんっ!やっぱりキミは優しいのね…」

「うわっ!くっつくな!」

「いいじゃないかいいじゃないか」

「よくない!…うぎゃ!や、やややややめろおお!!」





両手をガバッと広げて万里くんに抱きついてみたけど万里くんはしどろもどろになってあたしを引き剥がそうとする。


けけけ、あたしの引っ付き力をナメるでないぞ万里きゅん。




「栞はついてーく、どーこまでもぉー!」

「気色悪い替え歌作んな!た、タコかお前は!」

「タコちゃんでーす」

「……酔っ払いかよ」




万里くんはあたしを引き剥がそうとしてたけど、離れないあたしを見て諦めたようだ。ため息がやけに長い。



勝手に思ってるだけだけど万里くんと距離が縮まった気がする。ちょっとね。



そんなことを思いながらこっそり笑った。





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