【完】あともう少しだけ、背伸びする。
「てかなんでここにいるの?」
「…どれだけ待っても、戻ってこないし。鞄あるから帰ってはないだろなって思ってここに来たらいた。一発で当てれた。」
「…それはお見事なことで。」
割と遠いんだけどな、自分の教室から。
しかも空き教室なんてたくさんあるのに。
…嬉しくなっちゃうじゃんか、そんなこと言われたら。
意図がなくたって、七瀬の一言で一喜一憂してしまう。
そんな自分が、嫌になる。
いつの間にか前の席に座っていた七瀬。
椅子を跨いで座るいつものスタイルをとっていて、意外に距離が近かった。
少し椅子を下げて、バレないように息を吸ったあと、本題に切り込む。
「では、改めまして。お付き合いおめでとうございます!」
「…俺ずっと前から宮野に言いたいことあるんだけど言っていい?」
「え、祝ったのにスルーですか。まあいいけど。」
こっちの気は知らずか、意気込んで言った言葉を華麗にスルーする。
このドキドキ感はまだ続くのか。
しょうがない、決めたことだし。
…惚れた弱みってやつだよね。