ラティアの月光宝花
prologue
*
「セシーリア。我が国……ラティア帝国の国花を知っていますか」
「ごめんなさい、お母様。……存じ上げません」
「……薔薇よ、セシーリア。我が国の薔薇は普通の薔薇ではありません。一度咲くと枯れるまでその花びらを閉じることはないのです」
「夜も咲いているのですか、お母様」
「そうよ。何があっても。嵐の中でも降りしきる豪雨の中でも」
「逞しい花なのですね、お母様」
「セシーリア。あなたもそんな女王におなりなさい。いつまでこの平和が続くかは分かりません。永遠に約束された平和などこの世の何処にもないのです。
あなたは国を継ぐ者。いつでも強く在りなさい」
「はい、お母様……。セシーリアは強くなります。月下に咲く薔薇のように」
「ごめんなさい、お母様。……存じ上げません」
「……薔薇よ、セシーリア。我が国の薔薇は普通の薔薇ではありません。一度咲くと枯れるまでその花びらを閉じることはないのです」
「夜も咲いているのですか、お母様」
「そうよ。何があっても。嵐の中でも降りしきる豪雨の中でも」
「逞しい花なのですね、お母様」
「セシーリア。あなたもそんな女王におなりなさい。いつまでこの平和が続くかは分かりません。永遠に約束された平和などこの世の何処にもないのです。
あなたは国を継ぐ者。いつでも強く在りなさい」
「はい、お母様……。セシーリアは強くなります。月下に咲く薔薇のように」
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