ラティアの月光宝花
ガガガ、と小さな地響きがしたかと思うと、目の前の壁が切られたように左右に開いた。
「……一般的な歯車式の開き扉か……」
マルケルスが表情を変えることなくこう呟くとオリビエから松明を受け取り、皆を見回した。
「……行こう。進むしかない」
オリビエが頷きながら心配げにセシーリアに声をかける。
「大丈夫か?セシーリア」
「ええ、平気よ」
裏腹に声は震えその瞳は恐怖におののいていたが、セシーリアはどうにか勇気を振り絞って頷いた。
それを見たヨルマが先頭に立ち、セシーリアを振り返る。
「行こう」
*****
扉のすぐ前の階段を降りると、湿っぽい地下道のあちらこちらに兵士が倒れている。
マルケルスはそれらの亡骸を見ながらすぐに違和感を覚えた。
隠し通路の中で倒れているのは、全てラティアの兵士だ。
何故だ?なぜ一人も敵兵の死体がないんだ?
マルケルスは目まぐるしく考える。
……この地下通路への隠し扉はラティア帝国の王であるロー・ラティアとその側近、軍の各部隊の上層部しか知り得ない。
その地下道で味方ばかりが息絶えるなど……もしや……。
その時、ヨルマが前方を見つめて身構えた。
一方マルケルスは全身の血の気が引いていくのを感じた。
これはもしかしたら……!
「……一般的な歯車式の開き扉か……」
マルケルスが表情を変えることなくこう呟くとオリビエから松明を受け取り、皆を見回した。
「……行こう。進むしかない」
オリビエが頷きながら心配げにセシーリアに声をかける。
「大丈夫か?セシーリア」
「ええ、平気よ」
裏腹に声は震えその瞳は恐怖におののいていたが、セシーリアはどうにか勇気を振り絞って頷いた。
それを見たヨルマが先頭に立ち、セシーリアを振り返る。
「行こう」
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扉のすぐ前の階段を降りると、湿っぽい地下道のあちらこちらに兵士が倒れている。
マルケルスはそれらの亡骸を見ながらすぐに違和感を覚えた。
隠し通路の中で倒れているのは、全てラティアの兵士だ。
何故だ?なぜ一人も敵兵の死体がないんだ?
マルケルスは目まぐるしく考える。
……この地下通路への隠し扉はラティア帝国の王であるロー・ラティアとその側近、軍の各部隊の上層部しか知り得ない。
その地下道で味方ばかりが息絶えるなど……もしや……。
その時、ヨルマが前方を見つめて身構えた。
一方マルケルスは全身の血の気が引いていくのを感じた。
これはもしかしたら……!