ラティアの月光宝花
第四章
守護神ディーア
*****
「これから私は……どうすればいいの」
ラティア皇帝である父を亡くし、マルケルスの父ユリウス・ハーシアを殺され、挙げ句にオリビエを人質に取られてしまったのだ。
この状況にセシーリアは泣くしかなかった。
おまけに母である女王アイリスは行方不明である。
「泣くな!泣いたってどうにもならない」
焦げ臭い城内は、サージア兵を制圧したものの、後始末に追われるラティア兵や慌ただしく作業に当たる使用人でごった返していた。
マルケルスは強い口調でセシーリアを諭すと、グッと空を睨んだ。
「泣いている暇なんかないぞ、セシーリア。使用人の責任者達と医療兵に生存者数を確認させろ。あと死傷者名簿の作成や葬儀の手配を指示するんだ。それから補償額の交渉、建物の修繕開始命令を出せ。それらと平行して今後の戦略会議。やることは山積みなんだ」
セシーリアはますます泣き出したい気分だった。
こんな事は今まで経験がなく、一体何処からどう手を着けていいかまるで分からないのだ。
「マルケルス……私には無理だわ」
「しっかりしろっ!俺が言ってる意味が分からないのか、お前は!」
振り向き様、叩き付けるように叫んだマルケルスの迫力に、セシーリアは大きく眼を見開いて息を飲んだ。
マルケルスが言ってる、意味。
『指示を出せ』
マルケルス……まさか、あなたは私に……!
「これから私は……どうすればいいの」
ラティア皇帝である父を亡くし、マルケルスの父ユリウス・ハーシアを殺され、挙げ句にオリビエを人質に取られてしまったのだ。
この状況にセシーリアは泣くしかなかった。
おまけに母である女王アイリスは行方不明である。
「泣くな!泣いたってどうにもならない」
焦げ臭い城内は、サージア兵を制圧したものの、後始末に追われるラティア兵や慌ただしく作業に当たる使用人でごった返していた。
マルケルスは強い口調でセシーリアを諭すと、グッと空を睨んだ。
「泣いている暇なんかないぞ、セシーリア。使用人の責任者達と医療兵に生存者数を確認させろ。あと死傷者名簿の作成や葬儀の手配を指示するんだ。それから補償額の交渉、建物の修繕開始命令を出せ。それらと平行して今後の戦略会議。やることは山積みなんだ」
セシーリアはますます泣き出したい気分だった。
こんな事は今まで経験がなく、一体何処からどう手を着けていいかまるで分からないのだ。
「マルケルス……私には無理だわ」
「しっかりしろっ!俺が言ってる意味が分からないのか、お前は!」
振り向き様、叩き付けるように叫んだマルケルスの迫力に、セシーリアは大きく眼を見開いて息を飲んだ。
マルケルスが言ってる、意味。
『指示を出せ』
マルケルス……まさか、あなたは私に……!