ラティアの月光宝花
マルケルスの言葉にアンリオンが頷く。
「分かった。ルアスとサージア相手だ。そう数はいらないだろう」
北の軍隊長となったアンリオンは、ライゼンの要望通り一万の兵をエシャードに派遣する旨に賛成し、セシーリアを見つめた。
「どうする、セシーリア」
マルケルもセシーリアに眼を向けて口を開いた。
「最低一万いれば設計に応じた経路作成、及び河の底掘りが出来る」
「そうね。任せるわ」
通常路とは別に、軍専用の秘密経路の作成が勝利をもたらすために必要である事をセシーリアも理解していた。
「戦路の設計はライゼンに任せ、それに伴う人件費は惜しまないと伝えて」
セシーリアはマルケルスにそう言うと、北の窓に歩み寄った。
「いよいよだぞ、セシーリア」
「うん」
まずはサージア帝国とルアス帝国だ。
ラティアに牙を剥く事が何を意味するか分からせねばならない。
セシーリアは唇を引き結ぶと遥か北……リズの森を真っ直ぐに見つめた。
****
ラティア帝国が軍を二つに分け、サージア、ルアス両帝国に攻め入ったのは丁度三ヶ月後であった。
イシード帝国につけられた首都の傷を修復しつつ軍を立て直した期間を考えると、これでも早い出陣である。
「ありがとう、マーカサイオン!よく知らせてくれたわ。餌も水も用意してるからゆっくり休みなさい」
「分かった。ルアスとサージア相手だ。そう数はいらないだろう」
北の軍隊長となったアンリオンは、ライゼンの要望通り一万の兵をエシャードに派遣する旨に賛成し、セシーリアを見つめた。
「どうする、セシーリア」
マルケルもセシーリアに眼を向けて口を開いた。
「最低一万いれば設計に応じた経路作成、及び河の底掘りが出来る」
「そうね。任せるわ」
通常路とは別に、軍専用の秘密経路の作成が勝利をもたらすために必要である事をセシーリアも理解していた。
「戦路の設計はライゼンに任せ、それに伴う人件費は惜しまないと伝えて」
セシーリアはマルケルスにそう言うと、北の窓に歩み寄った。
「いよいよだぞ、セシーリア」
「うん」
まずはサージア帝国とルアス帝国だ。
ラティアに牙を剥く事が何を意味するか分からせねばならない。
セシーリアは唇を引き結ぶと遥か北……リズの森を真っ直ぐに見つめた。
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ラティア帝国が軍を二つに分け、サージア、ルアス両帝国に攻め入ったのは丁度三ヶ月後であった。
イシード帝国につけられた首都の傷を修復しつつ軍を立て直した期間を考えると、これでも早い出陣である。
「ありがとう、マーカサイオン!よく知らせてくれたわ。餌も水も用意してるからゆっくり休みなさい」