For You 〜 天使だった君に 最高のお返しを
陽の光を浴びて笑う君が 僕の前を駆け抜けてく

その姿が愛しくて ひと時だって見逃したくなくて


目が乾いてしまうくらい 瞬きを我慢したんだ

ずっと目が離せないよ こんなの君だけだよ



彼の曲の中に描かれる私は、私の知っている私とは違った。

私は、地味で暗くて、感情の動きが小さくて、人と話すのが苦手な、根暗を代表したような人間だ。

それなのに、彼はとても美化して描いてくれた。


彼がいつもみたいに、歌っているときにしか見せない表情で笑っている。

でも今日は、はにかんだ表情もたくさん頰に載せている。


そんな初めて見せる彼の表情が好きで、しかも歌っているのは私を描いた曲で。


彼の描いてくれた私は、陽の光の中で温かく笑うような温もりのある人で、そんな彼の描く私も大好きになった。


もし本当に彼の目に私がこんな風に映るのなら、彼と居ればこんなに素敵な私になれるのなら、彼ともっと居たいと思った。

他人任せなのは良くないけれど、彼といるだけで私は変われるかもしれない、そう思った。


曲は爽やかな曲調のまま、アウトロは彼の突き抜けるような伸びのいいスキャットで終わった。

余韻に浸りながら、心に満タンになった思いがポロリと溢れる。
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