For You 〜 天使だった君に 最高のお返しを
track3「数学大嫌いの歌」
2019.1
私はスマホの着信音で目を覚ました。
まだ寝ぼけた頭のまま、枕元に置いていたスマホに手を伸ばす。
ディスプレイで発信元を確認した。
住友 和也
その名前に一瞬で頭が冴え渡った。
彼のマネージャーだ。
メジャーデビューするはずだった事務所の人で、準備期間から含めて結局お世話になったのは半年間程だった。
住友さんから電話がかかってくるなんて、彼に関することに決まっている。
しっかり頭を回転させるために、体を起こしてベッドの上に正座をして、発信ボタンを押した。
「もしもし、井上です」
何の要件だろう。住友さんと話すのは彼のお葬式以来だ。
『優梨花さん、お久しぶりです、住友です。朝からごめんなさい』
「いえいえ!」
時刻は平日の10時半。
そんなに朝早くはない。
しっかり頭を起こそうと思ったのに、私の声から寝ていたのがばれてしまったのだろう。
どうしても朝が弱いのだ。
恥ずかしい。
「どうかなさいましたか?」
私は出来るだけお腹に力を入れて、しゃっきりした声を出すように努めた。
彼が亡くなった今、事務所と彼との窓口は私になっている。
とはいっても、電話がかかってきたのは初めてだった。
住友さんは言葉を選んで、ゆっくりと話し始めた。
物腰が柔らかく、話す人に癒しを与えるような人だ。
まだ寝ぼけた頭のまま、枕元に置いていたスマホに手を伸ばす。
ディスプレイで発信元を確認した。
住友 和也
その名前に一瞬で頭が冴え渡った。
彼のマネージャーだ。
メジャーデビューするはずだった事務所の人で、準備期間から含めて結局お世話になったのは半年間程だった。
住友さんから電話がかかってくるなんて、彼に関することに決まっている。
しっかり頭を回転させるために、体を起こしてベッドの上に正座をして、発信ボタンを押した。
「もしもし、井上です」
何の要件だろう。住友さんと話すのは彼のお葬式以来だ。
『優梨花さん、お久しぶりです、住友です。朝からごめんなさい』
「いえいえ!」
時刻は平日の10時半。
そんなに朝早くはない。
しっかり頭を起こそうと思ったのに、私の声から寝ていたのがばれてしまったのだろう。
どうしても朝が弱いのだ。
恥ずかしい。
「どうかなさいましたか?」
私は出来るだけお腹に力を入れて、しゃっきりした声を出すように努めた。
彼が亡くなった今、事務所と彼との窓口は私になっている。
とはいっても、電話がかかってきたのは初めてだった。
住友さんは言葉を選んで、ゆっくりと話し始めた。
物腰が柔らかく、話す人に癒しを与えるような人だ。