たった1人のシンデレラガール
episode:1
「愛莉〜、あたしもう着くよ!」
タクシーの中で私は愛莉に電話をする。
「待って早いよ、愛莉まだかかるよ」
もう、愛莉ってばいっつもそう。
待ち合わせ時間に間に合って
来たことなんてないんだから…
「雨なのにごめんね?莉音」
このセリフはもうお決まりのようなもんだ。
あたしはふっと笑って
「大丈夫、いつものことでしょ」
今さら怒ることなんてない。
私は愛莉のこういうマイペースなところが
一緒にいて楽で、好きだった。
「待ってるから気をつけておいでよ」
「うん!ありがとーーー!そいえばさぁ…」
合流するための電話なのに、
愛莉は待ち切れないと言わんばかりに
話し始める。これから会うというのに。
まぁ、これもいつものこと。
一緒にいてもお互い話が尽きない。
何時間一緒にいても足りないくらいだ。
「今日どこ行こうねえ」
適当に話しながら、
私は愛莉の到着を待った。