たった1人のシンデレラガール
《いまお時間ありますか?》

突然視界に現れた

バキバキに割れたスマホの画面。

"キャッチかぁ…電話してるのに…"

電話してるのに声をかけられたのは初めてだ。

いや、声はかけられていないが…

性格上、声をかけられると断りにくい。

だからいつも声をかけられないために

イヤホンをつけていたのだ。

"どう断ろう…"

咄嗟に頭の中で考える。

「莉音?聞いてる??」

愛莉の声で我にかえった。

「莉音〜〜〜???」

「あ〜ごめん、とりあえず待ってる」

「えっ?ちょっ…」

そう言って私は電話を切った。

「あれ?お電話大丈夫ですか?」

申し訳なさそうに私を見ている。

「あ、はい…大丈夫です」

「わざわざすいません」

「いえ…無視はできないから」

「わー!優しい!めっちゃ嬉しい!」

目の前でホストが喜んでいる。

「雨やし寒くないですか?待ち合わせ?」

ホストが聞いてくる。

「寒いですね…いま友達を待ってて」

「そうなんやね!ホスト行ったことある?」

「行ったことないです」

「おっ!1時間500円でどうですか?」

「友達に聞いてみないと…」


正直、少し興味はあった。

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