SHORT LOVE STORY

●夏祭り


〈 SIDE GIRL 〉


……───━━━━━━



…ドォォーンッッ!

…、バァァーンッ!!!



真っ黒な空に花火が上がった。



今日は夏祭り。



あたしは淡いピンクの浴衣を着て、



幼なじみであり彼氏の稍稀(ショウキ)の隣を歩いてる。



『あっ!!金魚すくいある!!』



『やべ~。水飴食いたい!』



とか言ってあたしより子供みたいにはしゃぎ回ってる稍稀。


バカだなぁって思いながらも稍稀の楽しそうな笑顔にドキドキしちゃってるあたし。


もぅ…。いっつもそう。


稍稀はあたしなんか置いてけぼりなんだから。


…自分で言っててなんかムカついてきたなぁ。



せっかく着てきた浴衣もほめてくれないし。


あたしのことなんかほっといてるし。



ほら今だって。



『タコ焼き買ってくるからそこで待ってて』


って言ってどっか行っちゃった。



こんなにドキドキしてるのはあたしだけなの?



そんなことを思って涙が出そうになったとき。



『悪ぃ。待った?』

そんな声がして上を向くと、


タコ焼きを持った稍稀が息を切らしながらあたしの近くに駆け寄ってきた。



「…、」


再び俯いて何も言わない可愛くないあたし。


『…なんか怒ってんの?つかタコ焼き食わねーの?』



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