記憶のカケラ





オレンジ色に染まった教室。ここの窓からは夕焼けがとても美しく映る。



「君は嘘ばかりつくよね」



そう言いながら微笑みかけてくる親友には、さすがに言い返したくなった。半ばあきれた声で言う。


「その嘘だらけの笑顔で言われたくないね」


本気で笑ってたことが何回あった?

そう言ってやれば、へらりと笑って言ってくる。


「心外だなあ、私はいつだって本当のことを言っているのに」


ほら、そうやって、笑いたくもないくせに笑うんだ。
もう一度窓からの景色を眺め始めた君に、拗ねたような声が出た。


「言ってることが真実でも、君の笑顔が本物だったことなんて数えるくらいしかないだろ」


窓からこちらに視線を移した親友は、そのからっぽな瞳に私を映して、何も言わずに微笑んだ。静かに、静かに。

鏡のようなその瞳の中に、不機嫌な顔をした私が映っていた。

いつだって君は、鏡のように私を映して見せるだけで、君自身を見せようとはしない。その目に君は現れない。




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