presquerien
廊下を走り、階段を駆け下り、ついには窓に足をかけて臣下にそれを阻まれながら、無様にこけてやがて彼女の前にたどり着いた。
煌びやかな服は、邪魔だと引きちぎられ、整えられた髪を振り乱し、汗だくの王は奴隷として売られていた女の前で運命に歓喜した。
「ハバナ。追い返したりして悪かった。遅かったね」
「いいえ…いいえ!シニアン。また、会えましたね」
綺麗には会えない二人だった。
いつだって全てに行く手を阻まれる。
永遠を誓いあっていても困難が邪魔をする。
それでも、再びこうして出会えていた。
それがどれ程の奇跡か。
跪いた王の行動に家臣達がざわついた。
「…永遠を、君に誓った。この世でも誓おう」
「…はい。私はあなたのモノですから」
そこには身分もなにもない。
ただの男と女の姿があった。
永遠を誓い、運命に乗せられた男女の姿であった。