presquerien
悪鬼
それからは、早かった。
駆けつけた大量の臣下達に、彼は言う。
「彼女を下女として城に迎え入れる」
それに一番驚いたのはアイルであった。
下女とは世話人だ、側室でないことがなによりの驚きであった。
あまりの驚きに言葉もない。
彼女ははじめこそ驚きを見せたが、静かに笑っていた。
臣下達の質問をのらりくらりとかわし、彼はアイルを横目に城へ戻っていく。
立ち尽くしていた彼女は下女に連れられ、引きずられるようにして城へ入っていった。