presquerien
自身の存在を悲観することもせず、諦めの瞳で柵ごしの民衆を眺める女。
陶器の様に白い肌、茶のかかった瞳、細い腕に輪をはめた女の末路は何よりも明らかであった。
嫌な仕事だ。
純粋にそう思ったのは、毎度のことながら彼女の運命にある。
何時の時代も、どこにあっても、彼女は囚われ嬲られている。
それはもう運命と呼べるのではないだろうか。
神様の定めた運命、決してかの神はそんなモノ望んではいない。
寧ろそれを阻止しようと動いてはいるが、そう容易く覆らないらしかった。
先ほどから好奇の視線を向けられていることもあって、無人の廃家に身を顰めた。
自身の姿は人と違う異形のソレ。
神に選ばれたその存在の名は天使。
背中についた白い翼は一応飾りと見えるよう細工もしたが、この時代には合わないらしい。
仕方ないと少し高度な技術で翼を見え失くし、赤い髪も手を添える事で黒く染めた。