presquerien

 それからというもの、下女として彼の下に下った彼女はよく失態をおかした。

 初めての仕事だ無理もない。

 その度罵られ、時たまに鞭で打たれもしていた。

 王たるキュイ王の前に出ることもなかった。

 それでも時折、恋い焦がれた王の魂が震えそれを止める現世の魂のせめぎ合いで王が取り乱すことが城中の噂として巡った。

 手当たり次第モノを壊し暴れ狂い、収まれと叫ぶその姿はまるでケモノであった。

 そうまでして抗いたいのだろうが、それは不可能に近い。

 そんな時であった。

 彼女が再び、王の前に現れたのは。

< 22 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop