presquerien
「うるさい!」
頭を抱えた王に、彼女は持っていた布を落として駆け寄った。
「シニアン様」
「うるさい!俺はキュイ。この国の王だ!寄るな下女!触れるな奴隷風情が!名を呼ぶな!」
全力の否定に彼女の魂が震えるのが見えた。
「おい、永遠を誓ったくせになんだそれは」
突然現れたアイルに、王は頭を振った。
「黙れだまれだまれぇぇぇ!なぜ俺の前に現れる!なぜ放っておいてくれない!俺はもう嫌だ!」
「神に永遠を誓った。だから俺達はここにいる。永遠とはつまり命が再び尽きても再びめぐり合う。つまり恒久だ」
「違う!それは前世の俺だ!今の俺はキュイ!王たる俺にそんなこと背負う義理はない!」
「あきらめろ、魂が誓ったんだ。前世も現世も関係ない」
「…それほどお嫌ですか?私との運命が」
それは静かな呟きであった。
顔を上げたキュイ王の顔色が徐々に暗くなるのがわかった。