presquerien

 それからは早かった。

 騒ぎを聞きつけた下女達が駆けつけ、彼女が王を落としたとされた。

 彼女は何も言わなかった。

 彼女はもう、ハバナではなく、何にも希望を持たない現世のシュイルとなっていた。

 王を殺した罪は重く、彼女はさらし首となった。

 彼女は運命を受け入れ、最後の日まで口を開かなかった。

 ただ、アイルには一言だけ。

 「現世もまたシニアンにあえて、幸せだった」

 ただ一言そう告げた。

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