presquerien
神が、女神と称える地上の天使を救うのが彼の役目ではない。
救いはしない、この現状から解き放つ事でもない。
神が決めた筋書き通り、繰り返される運命に彼女を導く。
それが彼の本当の役目であるが、毎度”彼ら”にはそれが正しく伝わっていない。
今度は違う末路を期待するも、それは神の書いた筋書きとは違うので難しいだろうと溜息を吐いた。
「だりぃ」
声に出し、確か今はこの言語かと確かめた。
人の売られる時代、それは未だ絶えず行われる一種の歴史であった。
そこに身をおき、人間界の理を学ぶと同時に、”彼ら”を運命の歯車に乗せる。
それが、彼、アイルの役割である。