presquerien
「…おい、そこの女」
はじめ、本当に神が愛した女なのかと疑う程に汚れた彼女に全てが間違っていたのかと思った。
だが、女が顔を上げて自覚した。
何年、何百年経とうと、数ミリも変わらぬ彼女の真の姿を。
上げられた顔、肌の色も髪の色も変わったというのに、その瞳の強さはいつも変わらない。
今回の彼女は少し、世を憐れみ世界を否定したように暗く下がった瞳であるが…。
彼女の記憶は書き換えることをしない。
幾年過ぎようと変わらぬ思いの運命に彼女は乗っているのだ。
そこにアイルの存在もあり、神の存在もある。
彼を見たその瞬間に、彼女は再び運命の輪に加わるのだった。