気づいたら、好きでした。
「では、担当の楽器を紹介します」


事前に受けていたオーディションを元にして先生は担当の楽器を決めていた。


入部とともに相棒が決まる。


それがどんなに嬉しいことか、1年前のあたしは知らなかった。


でも、今ならわかる。


どんどんパートと名前が呼ばれていき、発表が進む。


自分のことではないのに、すごい胸がドキドキする。


「低音パート」


ゴクリとつばを飲み込んだ。


「ユーフォニアム、安藤咲姫(あんどうさき)、水野小恋(みずのここ)」


「…チューバ、秋城大輝」


………!


あきしろ、たいき。


男の子かぁー。


嬉しいような、ちょっと寂しいような…そんな複雑な気分になった。


「パーカッション…」


あたしのそんな気持ちを置いて、発表はどんどん進む。


ふと、音楽室のはしに固まっている28人の1年生の方を見る。


今回、入部した男の子は6人。


去年も一昨年も、男子部員は1人だったから珍しいことだった。


どの子かなー?と、男の子が固まっている
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