それならいっそ、黒になれ


コンクールが近いから
夏休みも描きたいんだ。
でも別に那智は来なくていいんだよ?
こんなに暑いんだし、
美術室はクーラーも扇風機もないし。

そんな律儀に―――…。



そのときの会話を思い出しながら
行村くんの言葉に笑みを返す。



『あの写真の男子、
私の幼なじみなんだ。
あそこに座ってる…薗春人くん。
去年の夏休みにね
絵を描いてるとこが
ほんとに絵みたいで…
私もあの写真大好きなの』



あ、調子のりすぎた?

あわてて
ごめんね、と
謝ろうとしたけど
行村くんの声でそれを飲み込んだ。



『ふーん…
あの写真があんなに綺麗なのは
八坂が薗のこと
好きだからなんだな』


『      』


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