タタリアン
 市街地の道路。
 歩道の端に交通事故で亡くなっ
た人のために花束が供えられてい
た。その横に子グマのぬいぐるみ
が置いてあった。
 1台の自動車がそこを通り過ぎ
ると対向車線にはみ出し、縁石を
乗り越えて洋品店に突っ込んだ。
 大破した自動車の車内で、運転
していた人はミイラになってい
た。
 歩道に置いてあった子グマのぬ
いぐるみは通りかかった小学生の
女の子に拾われた。
 女の子は公園に行き、子グマの
ぬいぐるみと一緒にママゴト遊び
を楽しんだ。
 しばらくすると友達の女の子達
がやって来て、その子はぬいぐる
みを置いたまま、一緒にどこかに
行ってしまった。
 置きっぱなしになった子グマの
ぬいぐるみを見つけた小学生の男
の子達が蹴ってサッカーの真似を
して通り過ぎた。
 公園の片隅でボロボロになった
子グマのぬいぐるみ。

 美咲は連日のように警察に呼び
出され同じ質問を何度もされた。
 美咲も早く事件を解決して疑い
をはらしたいとあせっていた。
 いつの間にか美咲が警察官を質
問攻めするようになっていた。
 警察官が言った、
「3つの事件ともミイラは死後、
200年ぐらいです。全員、女性
というのも共通点ですね」
「本人と確認されてるんです
か?」
 警察官は書類をめくりながら、
「えっと、はい、全員、DNA鑑
定で本人と確認されています」
「ミイラにする毒薬のようなもの
があるとは考えられませんか?」
「それは…、ないんじゃないか
と」
「そうですよね。そんな毒薬が
あったとしても、死後200年の
状態になるのはおかしいですよ
ね」
「はぁ」
「200年前ってどんな時代でし
た?」
「えっと、ちょっと待ってくださ
い。すぐに調べますから」
 警察官は慌てて資料を探しに
行った。
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