タタリアン
 かなり歩くと潮の香りが風に
乗ってやってくるようになった。
 美咲が耳をすますと波の音も聞
こえてきた。
 歩き疲れて棒のようになった足
も早くなる。
 やがて視界が広がり海が見えて
きた。
 海岸は砂浜だけで港のような所
はなかったが、美咲は砂浜に下り
て少し休んだ。
 
 いつの間にか美咲は居眠りをし
ていた。すると海から潜水艇が浮
上し、中から知的生命体が現れ
た。
 知的生命体は体に海水がつくと
そこから煙がでて、そのたびに消
火剤のようなものを吹きかけてい
た。
 知的生命体の体からは潮風にあ
たり、湯気のようなものがたって
いる。
 海水がよほど苦手らしく、知的
生命体は波が引くタイミングを待
ち、地面すれすれに浮遊して砂浜
に移動し、美咲に近づいた。
 美咲は目が覚め、知的生命体に
気づいたが体を動かすことができ
ず、体が少し浮き上がり、そのま
ま潜水艇に連れ込まれて海に潜っ
て行った。
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