タタリアン

　美咲が気づいた時には父親の遺
品を片付けていた部屋に戻ってい
た。
　すぐに服を触ってみたが濡れて
も汚れてもいなかった。
（夢だったのかしら？）
　美咲を笑ってバカにしているよ
うに見える南蛮人形。
　美咲は人形を手に取り、
「あんた関係ないじゃん。でもヒ
ントにはなったか」
　気を取り直した美咲は人形を木
箱に戻し警察に持って行ったが、
知的生命体に捕まり青年を助けた
夢のような出来事の話はしなかっ
た。

　子グマのぬいぐるみが１個、回
収され未回収は９個になった。

　３日たって警察から連絡があ
り、南蛮人形は中国製で清の時代
に作られた物と分かった。
　詳しい年代は分からなかったが
２００年は経っているということ
だった。

　子グマのぬいぐるみが４個、回
収され未回収は５個になった。

　美咲は金髪の青年に会った夢と
も現実ともつかない出来事を思い
出しながら歩いていた。
　何気なく目をやると公園の隅に
ボロボロになった子グマのぬいぐ
るみらしいものがあった。
　美咲はすぐに駆け寄り拾い上げ
るとやはり子グマのぬいぐるみ
だった。
　ぬいぐるみについた砂を払って
いると美咲の意識がうすれて倒れ
た。