タタリアン
 現在。
 ある屋敷に人が集まっていた。
 江戸時代に豪農の屋敷だったと
いう木造の立派な建物は柱が黒光
りしていて重厚な趣をかもしだし
ていた。
 桃の節句が近くなると座敷に豪
華なひな人形を展示して路行く人
に披露していた。
 屋敷によく合う少し大きな段飾
りのひな人形に、見に来た人はだ
れもが感心していた。
 美しい女雛の顔をよく見ると美
咲に少し似ている。
 目が生き生きとして潤んでいる
ようだった。
 すると一瞬、瞳が動いた。

 公園に落ちていた子グマのぬい
ぐるみが回収され未回収は4個に
なった。

 警察は忽然(コツゼン)と消え
た美咲を探したがいつまでたって
もさっぱり行方が分からなかっ
た。

 子グマのぬいぐるみが3個、回
収され最後の1個は未だに回収さ
れていない。
 
終わり
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