タタリアン
 自動車の上や後ろにもびっしり
とカラスであふれそうになってい
た。
 周作がおどろいて固まっている
とミユが、
「話を聞いて」
 固まったままの周作はゆっくり
とミユの方を向き、コクリとうな
ずいた。
 ミユは真剣な顔つきで、
「しばらくすると、この地で大き
な地震が起きる。これまで誰も経
験したことのない地震」
 周作は唐突な話しにバカらしく
なって力がぬけた。
「アハハハ、ハハ、ハー?」
「カラスを見て」
 ミユに言われて周作はカラスを
見ると、すべてのカラスが周作を
にらみつけて何かを訴えかけてい
た。
 周作はカラスというより人間に
覗かれているような恐怖を感じ
た。
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