タタリアン
 平助の家の裏には山があり、ウ
サギやイノシシ、時には熊がでる
森があり狩猟が許可されていた。
 ある日、その森にふたりのハン
ターと3匹の猟犬が入り獲物を探
した。
 ハンターは立ち止まり、じっと
耳をすませた。
 下草がザワザワと音を立てると
すぐに猟犬を放ち、その跡を追っ
た。
 イノシシが姿を現し走って逃げ
る。
 猟犬がイノシシを追いたて吠え
ると、ハンターの銃声が鳴り響い
た。
 ふたりのハンターが駆け寄ると
小ぶりのイノシシが息絶えてい
た。
 ふたりはイノシシを持上げて帰
ろうとした。その時、地面が盛り
上がり爆発した。
 ふたりは吹っ飛び、2匹の猟犬
が死んだ。

 次の日、消防団がふたりのハン
ターの死体を発見した。
 爆発したのは第二次世界大戦時
の不発弾と分った。
 消防団員が他にも不発弾がない
か辺りを調べ、平助の家にもやっ
て来た。
 平助は玄関のドアから顔を出
し、消防団員の話しを聞いた。
 平助は消防団員が何を言っても
ニコニコ笑ってうなずくだけだっ
た。
 困った消防団員はとりあえず出
歩く時は注意するようにとだけ念
を押して立ち去った。
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