タタリアン
 平助の入った部屋にはちゃぶ台
があり食事の用意がしてあった。
 台所には若い娘がいて料理の盛
り付けが終わると、平助の居る部
屋に持って来た。
 若い娘は平助が帰って来ている
のを見て、
「あら、早かったんですね。お里
はどうでした?」
「うん、何も変わりはなかった
よ」
「そうですか。でも、危ないめに
遭わないかと心配です」
「そうじゃのう。あとなん回、戻
れるか」
「こちらに居てくだされば安心で
すのに」
「心配かけてすまんのぉ」
「そんなこと言わないで下さい。
さあ、食事にしましょう」
 平助と若い娘は楽しく食事をし
た。
 家の裏は竹林になっていて、い
たるところで竹の下のほうが光っ
て、赤ちゃんのか細い泣き声がし
ていた。

終わり
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