ずっと、キミが好きでした。
目指すは雑木林の中腹にあるちょっとした広場。
そこだけぽっかり大きな穴が開いたように木が生えておらず、綺麗な夜空を眺めることが出来る。
辺りが真っ暗なので、余計に星が綺麗に見えるんだ。
「足元暗いから、気を付けて。ここ、段差がある」
「ありがとう」
れおは紳士だ。
いちいち私の方に振り返って、転ばないように気を遣ってくれる。
転びそうになったら腰を支えてくれたり、抱きとめてくれたり、ドキドキするようなことを平気でしてくる。
昔から変わらないれおの優しさ。
そのたびにれおへの気持ちが大きくなっていることを、きっと彼は知らない。
ねぇ、好きだよ。
繋がった手から、私の気持ちが全部伝わればいいのに。
私の気持ちを知ったら、れおはきっと困ったように笑って「ごめん」って言うかな。
私の一方通行なこの想い。
れおは優しいから、私が傷付かないようにやんわり振ってくれるよね。
「しず、どうかした?」
無意識にれおの手をギュッと握ってしまっていたらしく、れおが不思議そうに私を振り返った。
月明かりに照らされたれおの顔。
鼻筋の通った鼻と、形のいいスッとした唇。
ストレートの黒髪は、右耳をしっかり覆っていて補聴器はほとんど目に付かない。
目立たせたくない、人に見られたくないという、れおの心の現れかな。
一見何もないように見えるけど、れおは心に深い傷を負っている。